残された私は、周囲をぐるりと見回した。


壁にはいくつもの映画のポスターが貼られている。

床に一面赤い絨毯がひかれているせいだろう。

額縁の金色がさらに際だって見える。


私は、一つ一つのポスターを眺めながら、館内を歩いた。



その時−。


足元に一枚の紙が落ちている事に気が付いた。


(なんだろう…?)


不思議に思い、手をのばしてみる。




それは映画のチケットだった。

日付を確認すると…今日のものだ。

誰かがうっかり落としてしまったのだろう。

私は慌てて辺りを見回した。

しかし、落としたようなそぶりをする人は見当たらない。


(どうしよう…係の人に届けなくちゃ。)


私は館内のチケット販売員へ声をかけようとした。



photo by LOSTPIA
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