着いた先は、チケット販売所。


「すいません。この隣の席下さい。」


ケンジは何食わぬ顔でチケットを差し出した。


「お客様…」


販売員が一瞬眉をしかめる。

小心者の私は販売員の顔を見ただけでびくついてしまう。

心臓がドキドキと波打つ。

どうしよう。

拾ったチケットだとばれているんじゃ…


「お隣りはすでにご購入済みになっております。他の御席をお選び下さい。」


販売員は申し訳なさそうに頭を下げた。


よかった…バレてない…。
って違う違う!


私はホッとしたものの、急いでケンジの袖を引っ張り引き返そうとした。


しかしケンジは私の手を、ぐいっと引き寄せて販売員に続けた。


「そっかぁ…じゃ後ろの席下さい。」


目を丸くする私にケンジはニカッと笑いかけた。
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