…ドキッとした。


その男があまりにもまっすぐに私を見ていたから。


ううん。それだけじゃない。


その瞳には、見覚えがあったからだ。



知り合いかしらー…


私は、頭の中の記憶という記憶を思いおこそうとしたけれど、
彼の名前や、ましてや思い出などでてはこなかった。

彼は静かに私の隣に腰をおろすと、スクリーンを見上げた。

スクリーンから放たれた光りで、彼の横顔があらわになる。


無造作に束ねられた黒い髪。

高い鼻…少し薄い唇。

私はまじまじと彼を見つめた。



どこかであったんだっけ?

きっとどこかで会っているはずだけど。

あの瞳を忘れるわけなんてない。

そうそう、この切れ長の目に大きな黒目…独特の雰囲気がある…

「…ーッ!」

そこまで観察してふと我にかえる。

そう、彼がこちらを振り返ったのだ。





photo by CoCo* Style.
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