私は思わず声を失ってしまった。

そんな私を全く気にする様子もなく、変な男は絨毯に落ちた私のバッグを拾いあげた。


「どうぞ。」


「…ありがとうございます。」


私はできるだけ不機嫌に言った。

すると変な男は突然「あのさ」と切り出した。

な、なによ。

思わず身構える。


「映画おもしろかった?」


予想外の言葉に目が丸くなる。


「はぁぁ…まぁ…」


私は曖昧に答えた。

なにが言いたいの?この人?

変な男は、私の事をジーッとみると「そっか。」とニコリと笑った。

「ならよかった。」


そして…



「俺のだからさ、そのチケット。」


変な男は言いにくそうに、でもハッキリそう言った。



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