店を出た時には、降り続いていた雨はやんでいた。

子供の頃かいだ、雨上がりの懐かしい匂いが辺りを包む。

私はすぅっと息を吸い込んで、できるだけゆっくり吐き出した。

少し飲み過ぎたか、頭がぼぅっとしている。

ケンジの車に乗り込み、ラジオをつけると、
よく知らない外国のシンガーが
バラードの甘いメロデイを奏でていた。

あちこちに残った雨の水滴が車のライトにあたり、キラキラと輝く。

私はラジオからかかる曲に耳を傾け外を眺めた。


「俺さぁ。」


ケンジがポツリと呟く。


「おまえの事大事に思ってるし。」


うん。わかってる。
私は黙って頷いた。


「これからもそうだし。」

キッ

ケンジは突然車を停めて私を見た。


「結婚しよう。」


まっすぐな視線は、私を逃がさなかった。


「一生大切にするから。」


突然ケンジに抱きしめられて、私は何も言えなかった。

咄嗟に…頷く事しかできなかった。




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